Nice and Sizzle

暑さの風景

アクアプール エッセイ

暑いですね、宮古島。
沖縄本島の人でも「宮古島の太陽は痛い」って言うそうです。強烈な光が深いコントラストを刻むので、風景が日本離れしてます。
LA在住の時も感じたのですが、このようなトコロでは強い色がキレイです。
言うなれば、繊細な緑を表現できるフジカラーより原色が映えるコダックという感じでしょうか。古い写真好きの方にお分かりかと思いますが。
ハイビスカスやブーゲンビレアなんかの路傍の雑草(!)も絢爛たる花々を咲かせ、葉は鬱陶しいくらいに青々と茂ってます。
また、夕陽も鮮烈なオレンジ色のまま元気いっぱいに沈んで行くので、もの悲しさなんてのは微塵もありません。
日陰にいれば島風が吹き渡り、気持ちが良いのも宮古島の魅力です。

アクアプール エッセイ

SUPの写真、気持ち良さそうですね。実はボードにいると頭上から照りつける太陽と海からの照り返しも相俟って、とっても暑いんです。
なので海に浸かって体を冷やします。まあ、こんなソーダ水のような海で遊んでいますので気持ち良いのは間違いないんですけど。
この後スコールに遭遇し、天然のシャワーを浴びてながら帰って来ました。これもまた良し、ですね。

島の人が「東京の暑さには耐えられんさ~」なんて言ってるのが今ではとても理解出来ます。
都会の不快さにはコンクリートの照り返しや人工的な排熱のせいもあるのでしょうけど、視覚的なモノが大いに影響してるんじゃないかと思います。
空を遮る高層ビル、無秩序に乱立する看板、道に溢れるクルマ、そして不機嫌な顔で足早に歩いている人々。彼らはココではないドコかへ逃げて行きたそうに見えます。

広大な空の青、絶妙なグラデーションを見せる海の青、濃く深い緑、鮮烈な赤い花々、延々と続くサトウキビ畑、そして木陰で笑い会うオバア達、穏やかな顔つきでゆっくり歩いているオジイ。
人々は言います「何かいいんだよね~」。美しい海や風景は言うに及ばず、そうではない何かが人を魅了するんですね、宮古島は。
鮮やかな色彩に囲まれ、心地よい島風に吹かれながらつらつらと思いを巡らせました。
「やっぱりココがいいや」・・・暑いけど。

アクアプール エッセイ

"120 degrees Fahrenheit"

カリフォルニア州にパームスプリングスという地があります。
砂漠地帯にある高級なリゾートで、LAからも2時間ちょっとで行けるので人気の観光地でありますが、暑さでも有名なトコロです。
ココで見た”120℉”って気温にびっくりしましたが、これは日本人にはあまり馴染みが無い”華氏”での気温表示なんですね。
幾度か行ったなかで華氏120度越えの日があって、それが摂氏50度。私が経験した最高気温です。

気温は強烈ですが宮古島と違い湿気が全くありません。完全に乾燥していてホントにからっからです。
汗もかきません。いや、汗が出た瞬間に蒸発しちゃうんで水分にならないんです。なんで衣服はしっかりと汗臭くなります。
太陽も、もはや暴力的といえるほど強烈で、大気中に湿気が無いので太陽の光が肌を直接突き刺すような感じです。
大気がカッキーンと音を立てるが如く澄み切っていますので距離感がおかしくなります。遠くにある山々の稜線がすぐ近くに感じられるほどです。
日中は焦げ付くような暑さなんですが、日が沈むと肌寒くなるほどに気温が下がります。

アクアプール エッセイ

砂漠の気候なので日中と朝晩の気温差がとんでもなく激しいんですね。
ですので日の出前の景色が本当に美しいんです。東の空がピンク色に染まり、全てのモノが色付いて行きます。
涼しく透明な空気のなか、コースに出ると散水で濡れた芝生の緑がキラキラと光っています・・・。
ハイ、そうなんです。気温50度、真夏のデザートでゴルフをやるんです。

ゴルフリゾートとしても知られるパームスプリングスですが、本来はお金持ちの方が寒い時期にプレーしに来るトコロでして、コース脇にそのような方々の別荘が建ち並んでます。
真夏にゴルフなんて酔狂な輩は少ないので、そこそこ高級なホテルとPGAレベルのコースをリーズナブルに楽しめたりするわけですね。

アクアプール エッセイ

早朝は快適なんですが、太陽が昇るとあっと言う間に灼熱地獄に変貌します。
強烈な太陽光が容赦なく降り注ぎます。それだけでも焦げるような暑さなんですが、風が吹き出すとさらにヒドくなるんです。
LAの涼しい海風と違って乾燥した砂漠の風なんで、巨大なヘアドライヤーで熱風を吹き付けられているような感じがします。
パッティングの時もボールがユラユラと揺れて見えたりします。
カートに1ガロン(約3.8L)の氷水入りジャグが備え付けられていて、ハーフの間に飲み切るように言われます。
体から水分が蒸発していくのが実感できるような環境ですので、これくらいの水分を摂らないとヤバイんだそうです。
OBしちゃったボールを取りに行く時もガラガラ蛇に注意しないといけません。日暮れ時にはコヨーテの鳴き声も聞こえます。

美しく整えられた芝生や植栽、チャレンジングなレイアウトなんかも素晴らしく、さすがに世界的に有名なゴルフリゾートです。
乾燥してるのでボールが良く飛んで気分が良いです。風によっては2番手くらい変わります。
ただ、私のようなアマチュアには難易度が高く、とても太刀打ちできるようなコースではありませんでしたけど。
相方は意気揚々と2ラウンド目に向かいましたが、私はとてもとても・・・。という訳でリタイアです。

強烈な光が生む濃厚な木陰でぬるいプールに浸かりながら、つらつらと思いを巡らせました。
内陸部の砂漠地帯はとても苛烈で、でもこんな厳しい環境でも人の営みがあり、街が広がっています。
豊富な地下水によってこんなスゴいリゾートも開発出来たのだそうですが、それにしても人間って逞しいものですね。
荒々しくも美しい大自然と、ヒトが造り上げた人工美の壮観なコントラストに、ちょっと圧倒されました。
ゴルフの師匠でもある友人のおかげでこんな素晴らしい経験をすることができて感謝感謝です。
猛烈に暑かったけど・・・。

エッセイ トップに戻る