From the Island of Gods

グローバルなリゾートとして著名なバリ島へ行ってきました。
神々の島である事や強烈な太陽、そして生命力溢れる自然は宮古島との親和性が感じられ、南国リゾートとしての在り方、またその環境においてプールはどうあるべきかと言う事を体験できたと思います。

Order out of Chaos

アクアプール エッセイ

羽田空港を飛び立って7時間半、インドネシアはジャカルタに到着します。
チャーターした車に乗り、まず遭遇したのは聞きしに勝る大渋滞。
膨大な量のクルマとバイクがせめぎ合い、車線もお構いなしに突っ込んできます。さらに、どこから涌いてくるのかと思う程の大量のバイクが隙あらばとばかりにねじ込んで来ます。
無理矢理にでも鼻先を入れていかねば車線を変えたり交差点を曲がる事ができないんですね。
それらのバイクも3人4人乗りは当たり前。子供を乗せた女性も多く、その逞しさには驚くばかりです。
ホーンが鳴り響くなか縦横に行き交う歩行者も加わり、まさに喧噪と混沌。
しかしながら無秩序の中の秩序と言いますか、殺気立つ事もなくギリギリのところで譲り合っているようで、滞在中に接触事故などはついぞ見かけませんでした。

Island of Gods

アクアプール エッセイ

早朝にジャカルタを飛び立ちバリ島へ。
人や車でひしめき合っているのは相変わらずですが、緑が多いこともあり心なしか空気がキレイな気がします。

赤道に近いので12月でも強烈な暑さですが、日陰で風に吹かれると心地よいのが宮古島を思い出させますね。
街中ではバイクの数がさらに増えて、あらゆる路地からまさに雲霞の大群の如く湧いてきます。少しでも譲ったらもう動けません。
郊外に出てしばらくすると田園が広がり人々が畑仕事をしています。緑豊かな山々を背負ったそのさまは日本の田舎を思い起こさせる、なんだかホッとさせる風景でありました。

これぞバリといった趣のあるヴィラや素晴らしい景観のレストランに立ち寄り、ガムランの音色に迎えられてホテルにチェックインしました。

アクアプール エッセイ

山岳地帯にあるウブド市街へ。こちらはウブド王宮を中心として数多くのバリ・ヒンドゥー教寺院が建ち並ぶエリアです。
文化・芸術の盛んなところで、名所や旧跡、市場や土産物屋もあり、通りは観光客でごった返しています。
市場にあるカフェで一息ついている時にお祭りの行列に遭遇しました。これもガムランと言うのでしょうか?鉦や銅鑼のような打楽器が奏でるその神秘的な音色には、何か心惹かれるものがありました。


チャナンというお供え物があり、家々の軒先や商店前の道端で良く見かけます。バナナの葉で作った四角いお皿に色とりどりの草花が綺麗に盛りつけてあり、家の各所に供えたチャナンは”平和・感謝”などの意を表し、地上に置かれたそれは悪霊へ”悪さをしないでね”という意味の捧げ物だそうです。
「間違えて踏んだりしたらどうなるの?」と思いましたが、置いた時にお供えは終わっているので大丈夫との事だそうです。なんともおおらかでイイですね。

Intensive light creates thick shadow

アクアプール エッセイ

ウブドの近郊には木工家具や彫刻で有名な場所があって、そちらも見学してきました。
天然の素材で作られたそれらの調度品は、強烈な太陽が生む濃厚な日陰にとても調和していて、居心地の良い空間を造りだしています。


街の辻々や路地裏にも多くの寺院があり、お供え物やお参りする人を見かけます。その姿は御嶽に手を合わせる宮古島の人々とも重なって、とても好ましい風景でした。
今回インドネシアで出会った人々は誰もが穏やかで、挨拶すると笑顔で手を合わせてくれます。通りすがりの人でさえも頬笑みと共に会釈してくれるその様は、また宮古島の人々を思い出させるものでした。


当初は街中の喧噪と人々の微笑みがどうもうまく結びつかなかったんですが、何となく得心が行ったような気がします。
我先にとひしめき合いながらも寸前で譲り合うあの姿は根底にある優しさゆえ・・と言うのは穿ちすぎでしょうか?

強烈な太陽と濃密な空気、生命力溢れる自然のなかで穏やかに生きる人々。
世界的リゾートのロールモデルとしてのバリ島は、宮古島との親和性が随所に感じられました。またアクアプールの標榜する ”目と耳を楽しませる風景のある幸せ” を具現化するデザインや演出の仕方なども勉強になったと思います。


最後に。
幼子を抱き、渋滞している車の間を縫うように歩く若い女性の姿が目に留まりました。
声を上げて哀れみを乞う分けでも無く、ただ手を差し伸べながら施しを望むその姿に思わず目を奪われたのです。彼女が近づいて来た時、ポケットにある少額のルピア紙幣を思い出しましたが、タイミングが合わずに渡しそびれてしまいました。
今でも手元に残ったルピア紙幣を見ると、ちょっとした後悔の念と共に真っ直ぐに見つめてくるあの母親の瞳が思い出されます。


首都移転を控え、地下鉄延長などさまざまな形で開発が進むインドネシアですが、強烈な光の裏には深い陰も存在するという事を思い知らされた旅でもありました。

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